【背景】ロシア軍によるウクライナ侵攻がはじまった2022年2月24日から、黒海北部のアゾフ海に面する、ウクライナ南部の港湾市マリウープルではロシア軍の激しい砲撃にさらされてきたことが、様々なメディアで取り上げられています。
侵攻の翌日、2月25日にすでにロシア軍に包囲されたマリウープルでは、市民が建物の地下などに避難するものの、砲撃で市街の九割までが破壊され、犠牲者がたくさん出るという問題の他に、飲料水や食料品、医薬品などの物資が底をつく目前という、深刻な人道的問題があることが指摘されてきました。
このような状況を踏まえ、ゼレンスキー大統領が停戦および市民の避難路を確保するようロシア政府に繰り返し訴えてきたものの、ロシア側はウクライナに降伏を求め、またロシア方面のみに避難路を設けるなどの方策に出たことが、西側諸国をはじめとする国際社会の非難を呼んでいます。
今回の「ウクライナ護送バス」による市民の救出は、危機的状況の突破口となるのでしょうか。以下、2022年4月1日夜、英国『ガーディアン紙』のYouTubeチャンネル「ガーディアン・ニュース」に掲載されたビデオ・ニュースから(出典:https://www.youtube.com/watch?v=qzo96oXUsOc)、記事および字幕部分と市民へのインタヴューの全文を、日本語に訳して掲載いたします。
注1:ガーディアン紙では、社会一般の関心が高い時事問題を扱う記事500語まで、出典先を明確にした上で、無収益の個人ブログで引用してよいという規定があります。
注2:YouTubeビデオに添えられた記事の部分(下記の映像リンクの上部に記した日本文)と、ビデオ画面上の字幕(下記の映像リンクの後につづく日本文)には、多少、内容が重複する部分がありますが、原文に則して翻訳いたします。
注3:また、上記【背景】の部分は私個人の見解です。情報元をたどれるように、BBCニュース日本ほかの記事へリンクを貼ってあります(下線部分)ので、ご参照ください。
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『ウクライナの護送バスが数千人を無事に救出』
英『ガーディアン紙』YouTubeチャンネル「ガーディアン・ニュース」(2022年4月1日)より
2千人ほどの集団が、包囲されたウクライナの港湾都市マリウープルから隣接するベルディアンスク市へと自力で移動した後、安全を確保しました。
ロシア軍に占領されたベルディアンスク市の近くに集まった人びとは、ウクライナ政府が準備し、赤十字社に付き添われた42台のバスから成る強固な護送車によって、(4月1日) 金曜日の午後、ウクライナ軍が守る都市ザポリージャに到着。
これまで避難の試みが度重なって失敗した後、ロシア軍が車両の通過を許可したことは、わずかながらも突破口が見つかった兆しといえます。バスに乗車した人びとはマリウープル市からベルディアンスク市まで援助なしに脱出し、その後、ロシア軍に支配された領域を去ることが許されました。
金曜日、キエフ当局筋が再び強調したところでは、救援隊あるいは護衛隊がマリウープル市まで近づくこと自体、未だ許可されていないということです。
ウクライナ東部の大都市ハーキヴや、マリウープル市などで必要物資が底をついてからは、数百人の避難民がウクライナのシェエナイ村からポーランドのメディカ村へと、国境を越えてきました。
【ビデオ字幕】 42台のバスから成る護送隊が、包囲されたマリウープル市と、占領されたメリトポル市から2千人ほどの市民を安全な場所へと移動させました。 護送バスの一団は、ロシア軍が占領するベルディナンスク市から、ウクライナ軍が守るザポリージャ市まで移動しました。同日、一足先にミニバスに乗せられて、ベルディナンスク市から救出された人びともいます。 キエフ当局の報道によると、救援および避難のための護衛隊がマリウープル市に近づくことは許可されず、およそ10万人の市民が未だに閉じ込められたままということです。 3月31日現在、ウクライナ東部では数百人の避難民が雨の降りしきる中、国境を越えてポーランドのメディカ村に入る順番を待っています。 ヴィチェスラヴさん、キーヴ出身 よく黒白をつけるって言いますが… ええと… 友人たちと電話で話していて、かれらが言うんです。僕らは白が正しいかもう分からなくなった、と… もうおしまいだ、と。 ヴァレオイさん、ハーキヴ出身 ハーキヴ市の中心地から30キロメートル離れたところで、軍用機が飛んでくるのを皆で目撃しました… 頭の上をひっきりなしに飛んでくるんですよ… 悲劇です。 こんなことが起こるなんて思いもしませんでした…(むせび泣く) 何のために? 野心のためでしょうか? タチアナさん、マリウープル出身 もう長いこと交渉が行われるのを、みな待っていました。2,3日の間。
だけど3月22日に、気がついたんです、食料があと2日分しか残っていないって。
飲み水もあと2日分しかない。
みんな(脱出することを)決心しました。
だけど砲撃の中を退去しなければならず、恐ろしかったです。
アリーナさん、マリウープル出身
わたしはマリウープルにずっといました。
住むことができる家の数が徐々に減っていくのを、毎日、みなで見ていました。
わたしの知っている人はみんな、今、住むところがありません。
わたしも家がありません。
わたしが持っている物と言えば、
持ってきたのはこれだけです(下を見る)。
(日本語訳:H.Shimazaki) ∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴ Disclaimer: The above is my personal translation of the video article, "Thousands of people brought to safety in a convoy of Ukrainian buses" by The Guardian, published on April 1st, 2022 on its YouTube channel, Guardian News: https://www.youtube.com/watch?v=qzo96oXUsOc I have translated the description of the video clip and the English subtitle within the video, originally released in English, into Japanese. I tried to be careful that the content would be faithfully represented in the Japanese language. However, in case of mistranslations, please let me know using the contact form as I may consider revisions. This website is for non-profitable and personal use, and therefore the citation here is within the fair dealing of current affairs. The copyright of the translated text belongs to the owner of this website. Thank you.
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