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literarylife

Reading "Emma" during Covid-19: コロナ時代のジェイン・オースティン読書会

Updated: Sep 4, 2021

Yesterday I attended a reading group of Emma on Zoom and we found interesting circumstances of the titular heroine.


In Austen’s time, people lived a circular life as they didn’t have transportation methods except for travelling in a carriage or on a horseback. But most of us walked muddy roads like Elizabeth Bennet. It’s only Frank Churchill who could make a day visit to London for his haircut!


During the lockdowns, I realised how important it was to have friends and family around. In Japanese, we say “it’s nice to live in a distance where you can share hot soup with your parents.” That’s about a 5-10 minutes walk and you can keep the privacy but support each other.


But Emma lives with her elderly father alone and takes care of him. This looks beautiful as a loyal daughter but some readers thought she was sacrificing herself. Others also thought Highbury was a surveillance society...which may be true...


Anyway, I had fun with the 21c style book club! 📚🖊️


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昨日、英国を代表する小説家ジェイン・オースティンの最高傑作、『エマ』(1816年出版)の読書会にオンラインで参加しました。主催者はニューヨーク大学の方で、米国在住の作家や研究者、学生などが中心となって30名ほど集まり、活気に溢れる議論が交わされました。


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(あらすじは最小限に抑え、冒頭のみ内容に触れると…)


主人公エマ・ウッドハウスは21歳。幼い頃に母親を亡くし、7歳上の姉イザベラもすでに嫁いでいるため、エマは高齢の父親と、母親代わりを務める家庭教師ミス・テイラーと共同生活をしています。ところが、ミス・テイラーが近隣のミスター・ウェストンと結婚することになり、さあ大変。何不自由ない裕福な地主の娘でありながら、エマは心の通う親友を失い孤独に苛まれる、という物語の出だしです。


オースティンの遺した長編六作品では、適齢期の女主人公が結婚するまでの道のりを、紳士階級の生活ぶりや、社交の場面を通して描いていきます。結婚生活を成り立たせるだけの財産を持つ男性と結婚できるか、が主人公たちの最重要課題となりますが、エマは例外です。結婚資金が十分にあるエマにとっての毎日、そして大事なものとは…?

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さて、長引くコロナの影響で、オンラインでの仕事やミーティングが、すっかり定着した昨今です。でも、十九世紀初頭の人びとは、パソコンや携帯電話どころか、馬車の他には交通手段さえありません。「スープの冷めない距離」、あるいはWalking Distanceに親戚や友人が住んでいることが、心の健康wellbeingにとって、いかに重要であったかが分かります。


つまり、地域社会との繋がりが非常に密であったのが、オースティンの時代と言えます。これを、21世紀の我々の視点から見ると、「近所の人々との距離が近すぎて、自由がないのでは? 互いに監視する社会だ。」「主人公エマは父親想いで世話をしているのではなく、父親の犠牲になっている!」などの意見が出て、人権問題に敏感なNYとあって、一味違った読み方に納得でした。


『エマ』にはオースティンが完成し、発展させたとされる<自由間接話法>が多用されています。ヴィクトリア朝後期のヘンリー・ジェイムズや、後のモダニズム作家たちヴァージニア・ウルフなどが用いた、<意識の流れ>の手法の先駆けとして知られる技法です。謎解きの要素も盛り込まれ、読み応えのある一冊。お勧めです。


(文責©H.Shimazaki)

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